
ヘルシンキ空港で
今回はスロベニア・クロアチアを旅することに。
今回のツアーの参加者は6名。私たちは関空から出発、ヘルシンキ経由でリュブリアナ空港へ。そこからはバスで憧れのブレッド湖へ。他の4名とツアー添乗員は羽田発。リュブリアナへ向かう飛行機の中でご対面となる予定だ。
ヘルシンキで乗り継ぎだが、2時間以上も前に到着し地ビールを飲みながら休日初日を楽しんでいた。今回は、飛行機の旅を、より、さらにくつろぎながら楽しもうと機内用のスウェットを新調した。あまりにも快適なので、スウェットのままヘルシンキ空港で過ごすことに。


そろそろ出発ゲートへ向かおうと歩き始めたが、ヘルシンキ空港は思いのほか広い。5年ほど前にも来たが、「これほど広かったかな〜?」と思いながら、やっとゲートに着いたのは出発時間の4分前だった。ゲートの前には、それほど大きくもないオネーサンが仁王立ち。「あんた達は、今まで何をしていたんだ!もう飛行機の扉は閉めたから乗せられないよ!」というではないか。「まだ飛行機はそこにいるじゃないか!乗せてくれろ!まだ4分前じゃないか!」「あんたら、アナウンスもしたのに、今頃何を言ってるの!」「いやいや、アナウンスなんて聞こえなかったよ!」と押し問答をしているうちに飛行機はゆっくりとボーディングブリッジを離れていくではないか!!!「どうすればいいんだ!何とかしてくれよ!」というと、「ここをまっすぐ行けば、Trasfer serviceがあるから」とだけ教えてくれた。
Transfer serviceのデスクにはちょっと怖そうなおばさんが。眼鏡の奥からにらみつけて言うには、「あんたら、なんで乗り継げなかったの〜?」。「いや〜、4分前に行ってたんだけど乗せてくれなかったんです。次の便でリュブリアナへ行きたいんだけど、、、」「リュブリアナは田舎の空港だから、次の便は明後日だよ」だって!「え〜、え〜っ!?」「ほかの航空会社でもいいから、どこの空港でもいいから、どうにか今日中にブレッド湖に行きたいんです!「ベネチアから陸路で250 Kmあるけど、行けないことはないわね〜。でも、ベネチア行は20分前に出たわ」
小一時間もパソコンと睨めっこした後、「明日の夕方発、コペンハーゲン経由のリュブリアナ行きが取れたわよ!」とチケットを渡されたのであった。他のカウンターで、「プライベートジェットをリュブリアナまで飛ばしてほしいんですけど」と頼んでみたが、「フィンエアーにはそんなものはない」とにべもなかった。



それではと、ホテルを探すことに。空港のすぐ裏手にヒルトンホテルがあるという。ホテルのフロントの前に立った途端に満室だと断られた。ヒルトンメンバーズカードを見せてもよかったのだが、この日はそんな元気も出なかった。どうせ、灰色のジャージーを着た東洋人は相手にもしてもらえないのである。「バカにしやがって!」「これでもロロ・ピアーナのシルク・カシミアなんだけど、、、。」とつぶやくのが精いっぱい。
ヒルトンホテルから歩いて5分ほどのところにフィンエアー傘下のスカンディックホテルがある。三流ホテルだが、部屋が空いていて胸をなでおろした。チェックインがおわり、フロントカウンターの横を見てみると、ファンキーなソファーがあるではないか!少し元気をもらった!

まずは夕食。ホテルのメインダイニングでいただくことに。ちょうどその時、携帯が鳴った。今回の旅行の添乗員からであった。「朝原さん!いまどこですか〜?」「ヘルシンキだよー!」「えっっー!えっー!えーーー!」事の次第を話し、明日の夜11時頃にはブレッド湖に着く予定であることを伝えた。
夕食をとりながら、もう少し早くブレッド湖に到着できる方法はないかと、地図を広げて由美子と二人無い知恵を絞っていた。「なるほどベネチアまでは飛行機で2時間だ。そこからブレッド湖までは陸路で250km、ほとんど高速道路だから3時間も見とけば大丈夫かも!?」「おおー!朝6時50分発のベネチア行があるではないか!昼頃には到着できるかも!」夕食も途中で切り上げ、再度空港のカウンターへ。コペンハーゲン経由リュブリアナ行きをベネチア行に変更してもらった。
添乗員に電話、翌日の朝9時にベネチア空港にハイヤーを手配してもらいホテルのバーで乾杯!

「羹に懲りてなますを吹く」は「痛い目に遭うと、とても用心深くなる」事のたとえだが、翌朝、私たちはDeparture timeの2時間前にはゲートにいた。
12年ぶりのベネチアは快晴。空港では、かなりイケテルお兄さんが出迎えてくれた。なんでもリュブリアナのハイヤーで、朝早くから来ていただいたようだ。車はベンツのワンボックスで、とても快適。そこへまた、添乗員からの電話。ハイヤーに無事乗れたかどうかを確認する目的のようだ。「いやー、べネチアはいいね!予定変更して、僕らはベネチアで遊ぶことにしたよ!」「朝原さん、それだけはやめてください!」と泣きを入れている。「うそ、うそ!順調にブレッド湖へ向かっているよ!」と伝えた。
途中一度トイレ休憩をして、めでたくツアーの昼食に間に合ったのであった!



ブレッド湖
ブレッド湖畔に建つVilla Bled。旧ユーゴスラビアのチトー大統領の別荘を改築したものだそうだ。ブレッド湖とブレッド島にたつ聖母被昇天教会を一望できるテラスに、昼食のテーブルは用意されていた。
「ご心配とご迷惑をおかけした」ことをお詫びして席に着いたところに、ツアーの長老から「なんや、やんちゃなことをするから、てっきり八尾の不動産屋かなんかと思とったら、神戸の顔しとる」と褒めて?いただいた。と同時にテーブルは一気に和んだ雰囲気となり、楽しい食事となった。メニューはスープ、スモークサーモンの前菜、メインはブレッド湖で獲れた鱒のグリル、デザートはクリームシュニッテ。どれもおいしく頂きましたが、量が半端じゃない!



ツアーは午前中にブレッド島とブレッド城を散策し、午後はブレッド湖畔を自由散策することになっていた。が、私たち二人だけは、昼食後にブレッド城を案内していただけることとなった!大きな観光バスに運転手と現地ガイドと私たち2名だけという、ちょっと奇妙でやや盛り上がりに欠けるツアーが始まった。
ブレッド城はスロベニア最古の城の一つ。城からはブレッド湖が一望でき、その眺望は圧巻である。城内には、レストラン・土産物屋・ワインセラー・活版印刷所や博物館もある。博物館では、青銅器時代からのブレッドの歴史を伝えている。







活版印刷所では、ブレッド城訪問の証明書を作ることができる。当方のお好みに合わせて、お兄さんと一緒に作れるようになっている。


ホテルは湖畔に建つGrand hotel Toplice。チェックインを済ませ部屋へ案内されたのだが、部屋のドアーには部屋番号はなく、privateとだけ書いてあるではないか!入ってびっくり、リビングルームは30畳程もあろうか?大きな円卓とソファーがある。隣は書斎で20畳ほどか?ベッドルームも25畳以上の広さ。ベランダに出てみると、ブレッド湖かぶりつきとなっており、目の前にブレッド城が。ベランダもとても広く、テーブルが2セット置いてある。
スウィートルームであることは承知していたが、これほどのものは想像もしていなかった!狐につままれたような、、、


夕食はホテル内のGrand restaurant。「アルプスの瞳」と呼ばれるブレッド湖を眺めながら、イタリアンをいただいた。メニューは生ハムとチーズ・手長海老のパスタ・ポークグリル・クレームブリュレとプラムアイス。まだ日があるうちに夕食は始まったが、メインの頃には夕日に包まれ、デザートが終わるころには夜の帳が下りようとしていた。刻々と変化するブレッド湖の景色を、ワインとともに楽しんだ。





レストランから部屋へ戻る途中、廊下の右側にポートレイトと短い紹介の文章が20数枚あることに気付いた。トランプ夫妻・エドワード王子・昭和天皇皇后陛下・小澤征爾などなど、、、どうもこのprivate roomに宿泊した要人が紹介されていたのだ。
「ん!狐につままれたわけではなさそうだ!」「何か訳がありそうだ!」二泊のスイートルームの料金を払っている私たちが、一泊しかできないことを憐れんだホテルが、特別にこの部屋を用意してくれたのかも知れない。感謝感謝!



朝食はブレッド湖を眺めながらテラスで。どこの朝食も似たようなものだが、特筆すべきことが一つあった。ゆで卵がむちゃくちゃ美味いのである。この地方の地鶏の生む卵は、ちょっと違う!3個食べた!美味かった!


