2019年06月01日

鯉川 和料理 「いそかみ」

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「和食」が2016年6月にユネスコの無形文化遺産に登録されたからというわけではないが、街で和食のお店を見かける機会が増えているように思う。
 そんな中で、カジュアルでいながら「和食の伝統と格式」を味わうことができる、素敵なお店を見つけました。
 鯉川 和料理 「いそかみ」は元町鯉川筋にあり、一度行きたいと思っていたがその機会は突然訪れた。ゴールデンウィーク最後の夕刻、食事をどこにしようかと歩いていた。そこに突然雨が降ってきたので、予約もないが飛び込んだのであった。
 カウンターに案内され、メニューから選んだのは「いそかみ会席」。

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 先付けはうすい豆のお豆腐・バイ貝うま煮・きぬかつぎの桜エビ団子・わらびの白和え・スナップエンドウの黄身きみ掛け。まずは、ビールといただいたが、どれもとても洗練された美味しさだった。特筆すべきはうすい豆のお豆腐。その柔らかさは和食ならではの心遣いである「空腹の胃に優しい」というだけでなく、食事を始める心を高揚させてくれる美味しさであった。

 椀はあさりしんじょのお吸い物。少し肌寒さを感じたこの日、頂いたお吸い物は心も体も温めてくれるありがたい一品でした。

 お造りは、シマアジ・インドマグロ・赤貝・ヒラメ。かぼちゃで作った蝶々が可愛い!食べてしまうのは惜しい気がしたが、蝶々もいただいた。甘くておいしかった!

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 煮物は、金目鯛と竹の子のまんじゅうの湯葉あんかけ。これは、美味!優しいお味が舌に触れ、柔らかいモチモチ感は歯に心地よく、ツルリと入る喉越しはたまらない。和食の知恵と技術が凝縮した最高峰の一品だ。

 焼き物の一皿は、淡路の天然もずく酢・富山のホタルイカ・わけぎ和え・カマスのふきみそ焼き。淡路のもずくは春先だけしか味わえないし、富山のホタルイカは今が旬。季節ならではの食材を楽しませていただいた。カマスのふきみそ焼きは、まねのできない美味しさであった。料理長の大谷雅也さんが教えてくれた。ふきみそはその香ばしさとともに「えぐみ」を味わうのだと。なるほど、大人の味だ。

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 揚げ物は、車海老の生海苔揚げ・スナップえんどうと玉ねぎ添え。生海苔の色合いは車海老の赤さと調和してとても美しい。そしてその香りは春の香り、車海老の美味しさをさらに引き立ててくれる。

 そのあと、宮崎黒毛和牛うちひらを石焼きでいただいた。脂身が少なく、柔らかいとても美味しいお肉でした。こだわりは、肉だけではなく塩や石にも。和歌山日高川の石を使うが、この料理にはこれがベストだそうだ。

 ご飯は、桜海老と新ごぼうの土鍋ごはん。桜海老と新ごぼうとみつば。その鮮やかな色合い、香り、歯ごたえと触感は「お殿様もうれしの」だ。

 デザートは、ぎゅうもちの苺大福。苺と生クリームとあんこを牛肥で包んだもの。これは苺大福の王様ですぞ!

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 六月の初旬、今度は予約して訪れた。
 会席のメニューは、ほぼ一か月ごとに変わるそうです。旬の素材を使うのであるから、当然か。また、いそかみ会席をお願いした。

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 前菜五種の盛り合わせは、スナップえんどう・フルーツトマト・よもぎゴマ豆腐と海老・油揚げ鶏つみれはさみ蒸し・稚鮎焼南蛮・絹かつぎの木の芽味噌焼き。一つ一つは小さな料理だが、どれも季節を楽しませてくれる、完成度の高いお皿です。

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 鯛の吸いものうしお仕立ては茄子の瑠璃煮入り、白髪しらがねぎが載せられている。まず、おだしを一口頂くと、口の中には鯛の香りが広がり幸せになります。やわらかい茄子と白髪ねぎのシャキシャキは対照的な食感で刺激的です。

 お造りは、明石鯛、すさみのケンケンカツオ、ハリイカ、赤貝。
 この日の明石鯛は、料理長の友達がその日に釣ってきたもので、とてもモチモチでおいしかった。
 すさみ町のケンケン漁では、ひきなわりょうで釣り上げたカツオを素早くいけじめにし、丁寧に放血・氷温に保つことによりその鮮度を保つそうです。脂が載っているにも拘らず、さっぱりとした食感と旨みの秘密は、ここにありました。

 新じゃが・アスパラのまんじゅう、白鷺しらさぎサーモンのせ。
 姫路市の家島諸島で養殖されている白鷺サーモンはご当地サーモンの先駆けで、今が旬、脂が載ってとても美味しい。新じゃがのまんじゅうをさらに美味しくさせている。

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 イサキ山椒焼、ヤングコーン甲州梅和え。イサキの旬は5月から7月頃で、この時期のものは「梅雨イサキ」とも呼ばれる。脂が載ったイサキで山椒を巻いている。とても絶妙、山椒の後味がさわやかです。

 白エビとそら豆のかき揚げ。白エビはふんわり優しいお味で、そら豆は色鮮やかで、噛んでいると甘みが口中に広がる。とても上品なおいしさです。

 特選牛石焼は前回同様、おいしく頂きました。

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 山蕗とちりめん山椒の土鍋炊きご飯。甘辛味にピリッとした実山椒の清涼感は、ご飯の最高のお友だ。これを土鍋炊きご飯にすると、おいしさはさらに倍増します。

 デザートは、安倍川餅黒蜜掛けと、甘夏とミントのゼリーよせ。先に、少し甘い安倍川餅を味わって、後にゼリーを頂いた。さわやかな酸味とキリッとしたミントの香りが幸せを倍増してくれました。

 

あとがき
 「いそかみ」はオープンしてまだ一年の新しいお店。料理長の大谷雅也さんは大阪新地の「和しん」で料理長をしていたそうだ。長年の修業の成果を惜しみなく提供してくださる様を見るにつけ、医師と全くたがわない一面を感じた。私も、「また頑張るぞー」と思わずにはいられない。
 大変ごちそうさまでした。
posted by Masakyo at 23:30|

2019年05月07日

山の辺の道

 山の辺の道は、三輪から奈良へ通じる七世紀に造られた上古の道。古代の面影を残し、万葉びとの息遣いを伝えると、パンフレットは言う。ハイキングコースとして人気も高い。

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 令和に変わる前に行ってみた。山の辺の道の南の起点は、初瀬川のほとりにたつ「仏教伝来之地碑」である。欽明天皇の時代に百済の聖明王の使者が仏像と経典を献上したという。

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 古代の道は狭く、曲がりくねり、起伏もある。1Kmほど歩くと平等寺がある。ご本尊は十一面観音菩薩様。本堂の片隅には賓頭盧尊者。不動堂の周りに配置した十六羅漢が可愛い。山門横には太子像もある。

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 さらに少し歩くと大神おおみわ神社がある。三輪明神とも呼ばれる。背後の聖なる山である三輪山を御神体とするわが国最古の神社。神代の昔、大国主神おおくにぬしのかみが自らの魂を大物主大神おおものぬしのおおかみの名で三輪山に鎮めたとか。ご祭神の大物主大神は国造りの神であり、医薬・造酒・方除など人間生活全般の守護神である。

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 坂道を少し登ると、薬の神社である狭井さい神社がある。病気平癒の霊験あらたかな神様、大神荒魂大神おおみわのあらみたまのおおかみが祀られており、本殿左奥の井戸から湧き出るご神水は万病に効くそうだ。全国から、このご神水を求めて多くの人が訪れる。節約のためか、ご神水は蛇口がついたタンクに貯められ、コップで飲むようになっている。数杯頂きました。

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 狭井さい神社から知恵の神様・久延彦くえひこ神社への途中に「恋人たちの聖地」と呼ばれる展望台がある。枝垂桜しだれざくらが満開で、桜吹雪をシャワーのように浴びました。

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 久延彦くえひこ神社のご祭神は久延毘古命くえびこのみことで「古事記」に世の中のことをことごとく知っている知恵の神様と記されているそうだ。「足は行かねど、天下の事をことごとく知れる神」であるのだが、その久延毘古命くえびこのみことは山田の案山子なんだとか!?うーん、よくわからん!

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 大神神社の敷地内に成願稲荷神社がある。その傍らに咲く、清楚でかわいいお花を見つけた。銀竜草ぎんりょうそうというのだそうだ。

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 大神神社の二の鳥居脇のお蕎麦屋さんで休憩しているところで、小雨が降ってきた。山の辺の道のまだ五分の一しか歩いていないが、帰ることにした。次回はこの続きを歩こうと思う。

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後日譚
 ゴールデンウィーク10連休の始めころ、息子から連絡があった。二度、病院を受診したにも拘らず、40℃以上の発熱が6日間持続しているという。すぐに帰省させ血液検査・尿検査・血液培養・便培養・尿培養・胸腹部CT・MRI・腹部エコー・心エコーなどの検査をしたが、白血球とCRPの上昇以外には異常を認めず原因不明であった。
 実は、狭井神社でペットボトルに入った「御神水」も買い求めていた。帰省翌朝、「御神水」でお味噌汁を作り飲ませたところ、翌日より解熱したのであった。もちろん、抗菌剤も飲ませてはいたのだが、その切れ味に畏れた。また、近日中に授かりに行こうと思う。
posted by Masakyo at 11:46|

2019年04月11日

小倉のさくら

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 神戸の桜はまだ五分咲きの頃、明日は水曜で休診日という日に桜が満開のところは?と探してみた。日帰りで行けるところは、博多や小倉が候補に挙がった。例の居酒屋さんで九州人である常連と一杯やりながら、「博多と小倉、行くならどっち?」と聞いてみた。「そりゃ小倉でしょう!」との答え。
 翌朝、新幹線で小倉へ。

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 小倉の駅は大きく、モノレールが駅構内へ入っている。駅前も広々していて整備されている。歩けばすぐに小倉城。期しくも、小倉城はリニューアルオープンしたばかりであった。 歩いていると汗ばむほどの陽気の中、ひかりに映る満開の桜を楽しみました。

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 足立公園にも行ってみた。千数百本の桜が満開であった。午後には、風に吹かれて花弁が飛び始める絶頂の瞬間であった。が、この広い公園で花見をしているのは、たった、二組。「惜しい」「とても寂しい」と感じた。
 足立公園の上に妙見宮がある。ここでは素敵な仏像にお会いできました。

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posted by Masakyo at 21:07|